2025/12/02 18:00

ASDの人は「気持ちがわからない」のか?

ASD(自閉スペクトラム)の人は
よく「人の気持ちがわからない」と言われます。

でも、本当にそうでしょうか?

定型発達の人が、ASDの人の気持ちを理解できるかといえば
それもまた難しいことです。

どちらかに欠けているわけではなく、
ただ「感じ方の仕組み」が違うだけ。

この記事では、
ASDと定型がすれ違いやすい理由と、
そこから見える「理解とは何か」について書いていきます。


1. 「気持ちがわからない」と言われてきた理由

ASDの人は、
空気や行間を読むことを苦手とすることがあります。

ただしそれは、
「思いやりがない」からではありません。

ASDの脳は、
・字面
・事実
・構造
これらに強くフォーカスします。

一方、定型の人は
言葉の裏側を自然に読み取る力を持っています。

たとえば「大丈夫」と言われたとき、
定型の人は本音を探りますが、
ASDの人は「大丈夫=問題なし」と受け取る。

これは性格ではなく、
情報処理の翻訳方法が違うだけ なのです。


2. 「分かり合えない」は、お互いにとって自然なこと

定型の人から見れば、
ASDの感じ方は「冷たく」「不思議」に映ることがあります。

逆にASDから見ると、
定型の感情は「曖昧で分かりにくい」。

どちらも「相手が分からない」のは同じなのに、
なぜかいつもASD側だけに努力が求められてしまう。

でも実際には、
お互い違う言語で会話しているだけ

日本語と英語の話者が
それぞれ母語のまま話しているようなもの。

誤解は「能力差」ではなく、
構造の違い から生まれています。


3. 感じ方の違いは、世界の見え方の違い

ASDの人は細部に強く焦点を当てて世界を理解します。
論理や正確さに注意が向きやすく、
全体の空気よりも「要素」を見る。

定型の人は、
空気や雰囲気といった「全体像」から理解するのが得意。

同じ景色を見ていても
まるで違うカメラで撮影しているようなもの。

どちらが正しいという話ではなく、
焦点が違うだけ なのです。


4. 分かり合えなくても、理解しようとできる

「分かり合う=同じように感じること」ではありません。

相手の世界を、
自分の言葉で想像してみること。

それだけで十分 “理解の一歩” になります。

ASDも定型も、
相手の感情を完璧に理解することはできない。
でも、「理解したい」と思う気持ちは誰にもある。

大切なのは、
分からないままでも寄り添おうとする姿勢

その誠実さこそ、
本当の意味での理解につながります。


5. 「違い」を責める社会から、「違い」を前提にする社会へ

これまで社会は
「気持ちを察する能力」を重視してきました。

でも、
感じ方や捉え方は人によって本当に違います。

ASDの人に空気を読むことを求めるのは、
左利きの人に「右手で書け」と言うのと同じ。

必要なのは、
「どうしたら伝わりやすいか」を一緒に考える関係です。

感じ方が違うからこそ、
世界は立体的で豊かになる。


おわりに

ASDは「人の気持ちがわからない」のではなく、
「定型とは分かり合いにくい」だけ。

でもそれは欠点ではありません。

違う視点、違う感受性を持っているからこそ、
お互いの弱い部分を補い合える関係が生まれる。

完全に理解し合えなくてもいい。
大事なのは、
違ったままでもそばにいられる尊重 です。

理解とは、
相手の世界を否定せずに保存しておくこと。

その距離感こそ、
本当の優しさなのかもしれません。


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