2025/11/21 18:00

はじめに

「やる気ないね」
「もっと元気出して」

その一言を言われた瞬間、心の中がすっと冷たくなる。
頑張っているのに、伝わらない。
手を抜いたつもりもないのに、なぜか「意欲がない人」に見えてしまう。

私も何度もそう言われてきました。
でも、本当は誰よりも気を張っていた。
ただ、それが外にうまく出ていなかっただけなんです。

ここでは、そんな「誤解されやすい頑張り」についてお話しします。


1. 「やる気ないね」と言われた日のこと

それは、以前勤めていた会社でのこと。
毎日終電まで残業していたのに、上司から突然言われました。

「最近、なんかやる気なさそうだね」

頭の中が真っ白になりました。
「そんなはずない。むしろ限界まで頑張ってるのに」
でも、声に出せなかった。

それ以来、私は「どう見えているか」が怖くなりました。
頑張るよりも「頑張っているように見せること」が大事なのかと思ってしまった。

けれど今なら分かります。
「やる気がないように見える」と言われる背景には、
怠けではなく、脳や感覚の特性が深く関係しているのです。


2. 「覇気がない」と言われやすい脳の仕組み

ASD傾向のある人は、言葉を理解しようとするときに
「内側」に意識が向きやすい。
そのため、表情が止まって見えたり、反応が遅れたりする。

でもそれは感情がないのではなく、
脳が一生懸命に「処理している最中」なんです。

ADHD傾向の人は、同時に多くの情報を処理していて、
「反応が一瞬遅れる」「目線が泳ぐ」「声のトーンが不安定になる」ことも。

脳のエネルギーが“外への表現”ではなく、
“内側の整理”に使われているからです。

だから、外から見ると静かでも、
内側では全力で考え、感じ、対応している。

ほんの数秒の沈黙や間が、
「冷たい」「興味がない」と誤解されることもある。

でも実際は、相手を理解しようとして時間を取っているだけ。
そこに“やる気の有無”は関係ありません。


3. 見えない努力は、確かに存在している

「やる気がない」と言われた日、
私は自分の頑張りを全否定されたように感じました。

でも今思えば、ちゃんと頑張っていた。

会議で発言できないときも、
頭の中では何通りもの答えを考えていた。
ただ「タイミングが合わなかった」だけ。

ADHDやASDの人は考えが深い分、
瞬時のアウトプットが苦手なことがあります。

外からは「動いていない」と見えても、
内側では何倍ものエネルギーを使っている。

相槌を打つ、表情を合わせる、笑う──
それだけでも、かなりの集中力を要しています。

見えていないだけで、
私たちは日々ちゃんと努力している。

まずは自分自身が、その努力を認めてあげてください。


4. 誤解に疲れたときに思い出してほしいこと

「やる気がない」と言われると、
もっと頑張らなきゃと思いがちです。

でも、それでまた疲れて、
結局「動けない→やる気がない」と見られる悪循環に陥る。

私も何度もそうでした。

そして気づきました。
「やる気があるかどうか」を決めているのは、いつも他人だということに。

他人の基準に合わせて頑張っても、
「やる気がある人」には永遠になれません。

だから私は、基準を自分の中に戻しました。

「今日はここまで頑張れた」
「昨日より1ミリ進めた」
「落ち込んだけど、立ち直れた」

その小さな積み重ねを、自分がちゃんと見る。
それだけで、心の呼吸が戻ってきます。


5. 自分の「やる気」を信じるということ

やる気は、テンションの高さや声の大きさではありません。

「もう一度やってみよう」と思える心の余白。
それが、本当の“やる気”です。

表情が淡々としていても、
声が小さくても、
心の中で「どうにかしたい」と思っている。

その火を、自分が信じてあげてください。

たとえ他人に伝わらなくても、
火が消えたわけじゃない。
伝えるスピードが違うだけです。

焦らなくていい。
静かなやる気も、ちゃんと生きています。


終章 「伝わらない努力」も、努力である

「やる気ないね」と言われたあの日。
胸に刺さった痛みは、今も覚えています。

でも、こう言えるようになりました。

――「私のやる気は、あなたには見えにくいだけです」。

誰にも気づかれない努力を、
自分だけは見捨てずに認めてあげてください。

世界の速度に合わせようとして疲れるより、
自分のリズムで一歩ずつ進めばいい。

それが、「静かなやる気」の持ち方です。


Awai.からのご案内

Awai.は、話すのが苦手な方のための【文字だけのオンライン相談】です。

ADHD・ASDの特性や職場での誤解・コミュニケーションの悩みを
静かなチャットで整理できます。

うまく話せなくても大丈夫。
ここでは、無理に「元気」を出さなくていいんです。

Awai.の詳細はこちら
https://awaichatroom.base.shop